顔面痙攣 -鍵穴手術の進化「極鍵穴手術」-

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長の佐々木裕亮です。
今回は、「鍵穴手術」の更にその先、「極鍵穴手術」についてブログを書かせて頂きます。

当院の開院当初から、手術の中で最も件数が多い疾患が、「片側顔面痙攣」です。
この治療には、”ボトックス治療”と、”手術治療”がありますが、今回は、”手術治療”についてご説明したいと思います。

私の手術の特徴としては、福島先生が確立した「鍵穴手術」という小さな開頭でオペをすることですが、最近、その「鍵穴手術」よりも更に、皮膚切開を小さくした「極鍵穴手術」を行っております。

「極鍵穴手術」とは、どのようなものか、解説させて頂きます。
「極鍵穴手術」は、約3.5〜4cmの皮膚切開で、手術を行います。(通常の「鍵穴手術」の皮膚切開は、約5〜6cm)

脳神経外科の手術として1番小さい傷の手術が慢性硬膜下血腫の手術ですが、それでも約4.5cmの傷になりますので、それよりも小さな傷ということになります。
下図が、実際の手術時の画像になります。

このような小さな傷でも、開頭する際は、骨の内側を十分に骨削します。
安全に手術を行うには、この骨削除が非常に重要です。骨削除が、十分でないと、頭の中の操作が非常に難しくなります。
下図が実際の手術の写真です。

↑左写真の黄色丸の部分の骨が、右写真では、すべて取り除かれています。

頭蓋骨の、特に内側が十分に削除されていることがわかります。
このあたりの骨を高速ドリルで削除するには、十分な訓練が必要です。

福島孝徳先生から、常々、「鍵穴手術のポイントは、頭蓋骨の内側の骨を十分に削ることだ」と、言われてきました。福島式教育・訓練を徹底して受けてきたことで、小さな皮膚切開でも深部の骨を十分に安全に骨削できるようになりました。

下図は、「一般的な方法で行った手術」と「極鍵穴手術」での術野です。
どちらもほぼ変わりなく十分に顔面神経や顔面痙攣の原因となっている責任血管が見えております。


また下記左図は、手術が終わり、硬膜を縫合している画像ですが、人差し指一本分の皮膚の切開だということがわかると思います。


また、髪の毛に関しても、下記右図のように、私の手術では、ほとんど剃ることはありません。
術後、何も変化なく日常生活に戻って頂きたい。という想いから、極力髪の毛を剃らずに手術ができるよう、術野を訓練いたしました。髪の毛が残ったまま退院ができるということは、患者様にも非常にお喜び頂き、いつも大変嬉しく思います。(患者様の状態によっては、剃毛する場合もございます。)


ただ、ここで注意がございます。
この「福島式鍵穴手術」を進化させた「極鍵穴手術」は、すべての患者様に適応というわけではございません。顔面痙攣の原因となっている血管が太い椎骨動脈の場合は、安全のため、従来の「鍵穴手術」(皮膚切開が約5〜6cm)で行っております。
今後、その太い椎骨動脈でも「極鍵穴手術」が可能になるようにさらに進化させていきたいと考えております。

次回のテーマは、
「顔面痙攣の再発の手術に関して」です。

引き続きご覧いただけますと幸いです。

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック
院長 佐々木 裕亮

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