脳神経外科
福島孝徳記念クリニック
診療顧問 野中 洋一
ご挨拶
私は1998年に久留米大学医学部を卒業したのち、同大脳神経外科で10年間幅広い臨床修行を行い、救急全身管理や脳血管障害に対する手術の技術を磨いてきました。その後、更なる技術向上を目指して2007年に渡米し、North Carolina州のDuke University Medical Center脳神経外科にて、福島孝徳教授、Allan Friedman教授の指導のもと研鑽を積みました。5年間にわたって最先端かつ最高峰の『頭蓋底手術』を目の当たりにし、私の脳外科医としての人生、価値観は大きく変わりました。多くの技術、手術哲学を学び帰国し、その後も臨床の場で福島教授の薫陶を受けつつ多くの頭蓋底手術にたずさわって参りました。そして2017年7月より東海大学脳神経外科に活動の場を移し、さらに高難易度の頭蓋底腫瘍の治療にあたっております。
『自分の技術で誰かの役に立ちたい、いい手術で患者さんを救いたい。』
私が外科医を目指した理由はこれだけです。しかし非常にシンプルなこの理念を達成するのは容易ではありません。一人前の術者になるためには長い時間と多くの経験が必要です。そして一流の術者になるためには、さらに多くの努力、確固たる信念、心の強さ、学びの場、そして『師』の存在が必要になります。手術は決して華やかなものではなく、むしろ泥臭く地道な作業の積み重ねです。刻々と変わる状況の中で次に何をすべきかを瞬時に判断せねばなりません。頭蓋底手術の多くは長時間の手術となり精神力、体力ともに消耗します。しかし手術後に不安や苦しみから解放され、安堵された患者さんの表情をみるたびに、この道を選んでよかったと心から感じます。
私は恵まれたことに、多くの学びの場とよき『師』に出会うことができました。「論文の実績が目の前の患者さんを救うわけではない。感覚を研ぎ澄ました自分自身の手、複雑な解剖の知識、そして経験から学んだ的確な判断があってはじめて患者さんを救うことができる」ということ、そして「術者の一挙一動が、良くも悪くも患者さんの人生を決める」。これらは福島教授からの指導で学んだことです。どの治療がその患者さんにとって最善であるかをしっかりと考えねばなりません。時間をかけて協議することもあれば、すぐに判断を下さなければならないこともあります。そして正解は一つではなく、患者さんの数だけあると思っています。
外科医である以上、一人でも多くの患者さんに『最善かつ最高の医療』を提供できるよう、これからもさらなる高みを目指したいと思います。
経歴
1998年 久留米大学医学部卒業
1998年 久留米大学病院脳神経外科学講座 医員
2002年 久留米大学大学院修了
2007年 Division of Neurosurgery, Duke University Medical Center (Visiting Research Scholar)
International Neurosurgery Education & Research Foundation (Research fellow)
2012年 新百合ケ丘総合病院脳神経外科 福島孝徳頭蓋底腫瘍センター 部長
2017年 東海大学 准教授
認定資格等
日本脳神経外科学会 専門医
日本聴神経腫瘍研究会認定医師
博士(医学)