頭痛外来

【頭痛外来専門医】による頭痛外来

当院では、毎週水曜日に『日本頭痛学会認定 頭痛専門医』の資格を取得した医師による外来診療を行っております。

「日本頭痛協会施設」に認定されました!

     

この度、当院が、”レベルの高い頭痛医療を行う施設”として日本頭痛協会より認定されました。


これまで以上に患者様の治療に貢献し、今後も「頭痛」で悩んでいる患者様のお役に立てるよう、診療を行って参ります。

『頭痛』の原因

『頭痛』とは、頭部の一部あるいは全体の痛みの総称、後頭部と首(後頚部)の境界、目の奥の痛みも『頭痛』として扱います。

『頭痛』には、その原因によって、約14種類に分類されます。
下図がその分類になります。

これらは、非常に専門的で、少し分かりにくいと思いますので、実際に、我々が『頭痛』という症状をどう考えているか説明させて頂きます。

まず、どのような『頭痛』であれ、頭の中に、画像検査で映るような原因があるのか、ないのかを考えております。

画像検査で判明する『頭痛』の原因

画像検査に映る原因としては、『くも膜下出血』が最も有名な疾患だと思いますが、それ以外にも、『脳腫瘍』・『脳動静脈奇形』・『もやもや病』・『脳血管攣縮症候群』・『脳動脈乖離』・『脳内出血』・『下垂体卒中』・『脳静脈洞血栓症』・『水頭症』など、さまざまな疾患があります。
緊急性があり、早期治療が必要である疾患もありますので、『頭痛』を主訴に来院された方には、画像検査を強く推奨しております。
画像上、上記の疾患が発見された場合は、その疾患が『頭痛』の原因となり、”二次性頭痛”と分類しています。

その他『頭痛』の原因

画像検査にて、特に『頭痛』の原因となる疾患が発見されなかった場合は、別の原因を考えます。
原因として、有名なものは、血管と神経が関与する『頭痛』と、筋肉の緊張からくる『頭痛』です。前者の血管と神経が関与する『頭痛』は、『片頭痛』と言われている頭痛になります。
『頭痛』の特徴は、頭の片側のこめかみに脈打つような拍動性の痛みです。(※注意️:患者様によって表現が異なるので、必ずしも上記の表現に当てはまらなくても『片頭痛』ということもございます。詳細は、その都度医師や看護師にお尋ねください。)

(参考文献:くすりと健康の情報局 by 第一三共ヘルスケア)

『片頭痛』に対する治療

『片頭痛』に対する治療としては、非薬物療法薬物療法があります。

当院では、『片頭痛』に対する治療としては非薬物療法が最も重要と考えております。
『片頭痛』の誘因として、疲れ・ストレス・緊張・睡眠障害・月経・天候変化などがあります。
患者様がおかれている様々な環境を、改善・変化をさせて頂くことが重要と考えており、環境変化の指導や睡眠障害への治療を薬物療法と共に行うこともございます。

「急性期の治療」

また、発作を可及的すみやかに抑える「急性期の治療」と発作を起こさないことを目的に行われる「予防療法」があります。

「急性期の治療」には、アセトアミノフェン(カロナール)、NSAIDs(ロキソニン)、トリプタン系薬剤があります。最近は、新規薬剤としてラスミジタン(レイボー®︎)が発売されております。

この中で、中心的役割をするのは、トリプタン系薬剤で、現在、5種類が使用できます。
基本的には内服薬ですが、スマトリプタン(イミグラン®︎)という薬剤のみ、点鼻薬と皮下注の製剤ございます。しかし、トリプタン系薬剤は、血管収縮を引き起こすため、心筋梗塞の既往のある患者様や、虚血性心疾患またはその症状・兆候のある患者様には処方できないことがございます。

その一方で、新規薬剤のラスミジタン(レイボー®︎)には直接の血管収縮作用がないため、心血管系リスクのある患者様にも処方が可能になります。

「予防療法」

『片頭痛』の患者様は、発作間欠期(頭痛症状がない状態の期間)にも光過敏などの神経症状を自覚されることがあるので、発作時に限らない日常的な加療が必要と考えます。

Ca拮抗薬ロメリジン(ミグシス®︎)、β遮断薬プロプラノロール(インデラル®︎)、抗てんかん薬バルプロ酸(デパケン®︎)、三環系抗うつ薬アミトリプチリン(トリプタノール®︎)があります。

一般的には、片頭痛発作が月2回以上、あるいは生活に支障を来たす頭痛が月に3日以上あれば予防薬を開始しますが、それぞれの医師によって、また、患者様の症状によって、薬剤の開始時期や使用する薬剤の種類は変わりますので、受診時にご相談ください。

CGRP受容体拮抗薬について

最近の研究で、『片頭痛』の原因物質が判明し、メカニズムが分かってきました。
下図のように、CGRPという成分が、血管に働きかけ、頭痛を引き起こすのです。

(参考文献:エムガルディ®︎ 第一三共株式会社 日本イーライリリー株式会社 HP)

そこで、このCGRPという物質に対しての薬剤が開発されました。
現時点では、この薬剤は、皮下注射でのみ投与できます。
エムガルティ®︎、アジョビ®︎、アイモビーグ®︎の3種類です。
それぞれの特徴をご説明します。

 

エムガルティ®︎(ガルカネズマブ)

CGRPに対する治療薬として、国内で初めて承認されました。
CGRPに対する抗体製剤であり、CGRPと結合し、CGRPを阻害する製剤です。
投与本数に特徴があり、初回は、2本投与します。その後は、1ヶ月毎に1本ずつ投与します。初回に2本投与することで、CGRPに対する薬剤の血中濃度を速やかに上昇させ、効果を高めております。
つまり、薬剤を開始してからの効果発現が早いという利点があります。

アジョビ®︎(フレマネズマブ)

初回から1本ずつを投与する薬剤です。エムガルティと同様に、CGRPを阻害する製剤です。毎月アジョビ225mg製剤を投与する方法と、3ヶ月に一度アジョビ675mg製剤を1回投与する方法があるのが特徴です。

アイモビーグ®︎(エレヌマブ)

米国のFDAで最初に承認されました。アジョビと同様、初回から毎月1本ずつ投与する薬剤です。
他の2種と異なり、CGRP受容体に対する抗体薬です。つまり、CGRPに直接作用するのではなく、CGRPが結合する受容体にこの薬剤が結合することで、CGRPの作用を阻害する薬剤です。

当院では、治療方法・お薬の種類など、患者様の症状に合わせて、説明・処方させて頂いております。
『頭痛』でお悩みの方は、市販薬で済ませるのではなく、一度受診することをお勧め致します。

『頭痛』についての動画