脳ドックを受けた方がいい人は?検査を受けるメリットや費用・所要時間について解説

脳ドックを受けた方がいい人は?検査を受けるメリットや費用・所要時間について解説

脳ドックは、脳や血管の状態を詳しく調べられる検査で、脳卒中や認知症といった重大な病気の予防や早期発見に役立ちます。

特に脳の病気は自覚症状が出にくく、発症してからでは治療が難しいことも少なくありません。

そのため、「症状がないから大丈夫」と思っていても、定期的に検査を受けることが大切です。

この記事では、脳ドックを受けた方がいい人の特徴について解説します。

脳ドックの目的や検査内容、費用・所要時間、注意点などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

「脳ドック」について詳しく見る

脳ドックとは

脳ドックとは

脳ドックとは、MRIやMRAなどの画像検査を中心に、脳や血管の状態を詳しく調べるための健康診断の一種です。

ここでは脳ドックの目的や検査内容、検査の流れについて解説します。

脳ドックの目的

脳ドックの主な目的は、病気の早期予防・早期発見です。

脳卒中や脳腫瘍、脳動脈瘤などの疾患は、突然発症して命に関わるケースもあります。

脳ドックを受けることで、これらの病気の有無や兆候を調べられるのです。

また、脳ドックでは脳の血流や血管や神経の状態などを確認し、生活習慣によるリスクの有無を調べます。

脳梗塞や認知症などは、食生活の乱れや運動不足、高血圧などが影響するため、検査結果をもとに生活改善のきっかけをつくることもできるのです。

つまり、脳ドックは『病気を見つける検査』であると同時に、『将来の健康を守るための予防検査』でもあるのです。

脳ドックの検査内容とわかる病気

脳ドックの主な検査内容とわかる病気を以下の表にまとめました。

検査項目 検査内容 わかる病気・異常
頭部MRI検査 脳の断面を撮影し、構造を確認する検査 脳腫瘍、脳萎縮、無症候性脳梗塞など
頭部MRA検査 脳の血管を撮影して血流を確認する検査 脳動脈瘤、血管の狭窄、閉塞など
頸動脈エコー 首の動脈を超音波で調べる検査 動脈硬化、血管の狭窄など
心電図 心臓のリズムを確認する検査 不整脈、心筋虚血など
ABI(血圧脈波) 手足の血圧差から血管の硬さを調べる検査 動脈硬化の程度
血液検査 血液からコレステロールや血糖値などを測定する検査 全身の病気や血液成分の異常(高血圧、糖尿病など)

脳ドックでは、これらの検査を通して脳や血管の状態を詳細に把握できます。

特にMRI・MRA検査では、発症前の小さな異常(無症候性脳梗塞など)も見つけられるため、発症予防に大きく役立ちます。

脳ドックの検査の流れ

脳ドックの検査の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 事前に受診予約をする
  2. 予約日時に来院し、問診表を記入する
  3. 順番に検査を受ける
  4. 検査結果の説明を受ける

検査結果の説明はその日のうちに受けられることもあれば、後日改めて来院する場合もあります。

医療機関によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

脳ドックを受けた方がいい人

脳ドックを受けた方がいい人

脳ドックを受けた方がいい人の特徴として、以下が挙げられます。

  • 30歳以上の人
  • 脳卒中・認知症の家族がいる人
  • 高血圧・脂質異常・動脈硬化などの診断を受けている人
  • 肥満気味の人
  • 飲酒・喫煙習慣がある人
  • 日頃から頭痛がある人

30歳以上の人

30歳を過ぎると、体内では少しずつ動脈硬化が進み始めます。

動脈硬化は血管の壁が厚く硬くなる状態のことで、脳梗塞や脳出血の大きな原因になります。

ストレスの多い生活や睡眠不足、不規則な食生活を続けていると、知らないうちに脳血管に負担がかかっていることがあるため注意が必要です。

若い年代でも脳卒中の発症リスクはあるため、30歳を過ぎたら一度脳ドックを受け、現在の脳の状態を把握しておくことが大切です。

脳卒中・認知症の家族がいる人

家族に脳卒中や認知症を発症した方がいる場合、ご自身も発症するリスクが高いとされています。

特に『くも膜下出血』などは家族歴との関係が深く、3親等以内に同じ病気を経験した人がいる場合、脳動脈瘤を持つ確率が一般の人より高いといわれているのです。

また、アルツハイマー型認知症の一部は家族性とされており、複数の家族に発症者がいる場合は、遺伝的要因の影響が強いと考えられます。

脳卒中・認知症の家族がいる人は、症状がなくても定期的に脳ドックを受けておくことが推奨されます。

高血圧・脂質異常・動脈硬化などの診断を受けている人

高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病がある方は、脳卒中をはじめとする脳血管疾患のリスクが高いとされています。

これらの病気は血管を傷つけて動脈硬化を進行させるため、血流が悪くなり、脳梗塞や脳出血を引き起こす原因となります。

特に高血圧は脳卒中の大きな原因といわれており、血圧が10mmHg上昇するごとに脳卒中リスクが約20%上がるというデータもあるため注意が必要です。

参考:21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)について

健康診断で基準値を外れた項目がある場合や、医師から生活習慣病の指摘を受けたことがある人は、脳ドックの受診を検討しましょう。

肥満気味の人

肥満は、脳の病気と深く関係しています。

BMIが25以上になると、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病のリスクが高まり、これらが脳梗塞や脳出血につながることがあるのです。

日本人を対象にした研究では、BMIが30以上の人は標準体重の人に比べて、脳梗塞の発症リスクが約1.7〜2倍高いと報告されています。

参考:The effect of age on the relationship between body mass index and risks of incident stroke subtypes: The JPHC study

ダイエットや運動で体重を管理することももちろん大切ですが、脳の健康状態を知るために一度脳ドックを受けておくと安心です。

飲酒・喫煙習慣がある人

たばこやお酒を日常的に摂取している人も、脳ドックを受けることをおすすめします。

たばこに含まれるニコチンなどの有害物質は血管を収縮させ、動脈硬化や血栓をつくりやすくします。

その結果、脳卒中を引き起こすリスクが高まるのです。

実際、国内の研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて脳卒中の発症率が男性で約1.2倍、女性では約1.7倍高いことがわかっています。

参考:健康日本21アクション支援システム Webサイト

また、喫煙は認知症のリスクにも関係すると考えられており、喫煙による酸化ストレスの増加が脳に影響を及ぼすとされる説もあります。

飲酒・喫煙習慣がある人は、症状がなくても脳ドックで脳や血管の状態を確認し、生活を見直すきっかけにするとよいでしょう。

日頃から頭痛がある人

頭痛が頻繁に起こる人も、一度脳ドックを受けることをおすすめします。

頭痛には肩こりやストレスなどによる軽いものもありますが、なかには脳腫瘍や脳出血、動脈瘤など重大な病気が隠れている場合もあります。

特に、これまでと違う強い痛みや急に起こる頭痛には注意が必要です。

また、片頭痛がある人は脳梗塞や認知症を発症するリスクが高いという研究報告もあります。

「たかが頭痛」と軽視せず、定期的に検査を受け、命に関わる病気を早期に見つけられるようにしましょう。

「脳ドック」について詳しく見る

脳ドックを受けた方がいい理由

脳ドックを受けた方がいい理由

脳ドックを受けた方がいい理由として、以下の3つが挙げられます。

  • 脳の病気に関する異常を発見しやすい
  • 病気の早期発見・早期治療ができる
  • 検査自体に放射線被ばくや痛みの心配がない

ここでは上記3つの理由についてそれぞれ解説します。

脳の病気に関する異常を発見しやすい

脳ドックの特に大きなメリットは、脳や血管の異常を早期に見つけられることです。

MRIやMRAといった検査機器を使うことで、脳の内部構造や血管の様子を画像として確認できます。

これにより、症状が出ていない段階の小さな異常でも発見しやすくなるのです。

例えば、脳梗塞の前ぶれとなる『無症候性脳梗塞』や、くも膜下出血の原因となる『脳動脈瘤』、また『脳腫瘍』なども確認できます。

こうした異常を早く見つけておけば、命に関わるような重症化を防げる可能性が高まります。

特に40代以降になると動脈硬化や高血圧などによって脳血管に負担がかかりやすくなるため、自覚症状がなくても、定期的に脳ドックで脳の健康状態をチェックするのがおすすめです。

病気の早期発見・早期治療ができる

脳の病気は一度発症すると重い後遺症を残すことがありますが、脳ドックで異常を早期に見つけて適切な治療を受けることで、そのリスクを大きく減らせます。

例えば、くも膜下出血の原因の多くは『脳動脈瘤の破裂』によるものです。

破裂前の段階で動脈瘤を発見できれば、手術や経過観察によって出血を防げる可能性があります。

このように病気が重症化してしまう前の段階で早期発見できれば、早期治療により完治を目指せるのです。

検査自体に放射線被ばくや痛みの心配がない

脳ドックで行う主な検査であるMRIやMRAは、X線を使わずに強い磁気を利用して脳や血管の断面を撮影するため、放射線被ばくの心配がなく、体にやさしい安全な検査方法です。

また、検査中に痛みを感じることはほとんどありません。

このように脳ドックは安全性が高く、誰でも安心して受けられるのが大きな魅力です。

放射線被ばくや痛みを心配する方でも、気軽に受診できる検査といえるでしょう。

脳ドックの費用・所要時間

脳ドックの費用・所要時間

脳ドックの費用や検査にかかる時間は、コース内容や医療機関によって異なります。

一般的にはMRI・MRA検査を中心に、血液検査や頸動脈エコーなどを組み合わせたコースが多く、費用の目安は数万円、時間の目安は2~3時間程度です。

ここでは脳ドックの費用・所要時間の目安について解説します。

脳ドックの費用相場は2~10万円程度

脳ドックの費用は、一般的に2万円〜10万円程度が相場です。

基本コースのみの場合は2〜5万円程度、より詳しい検査やオプションを追加する場合は10万円近くかかることもあります。

MRI・MRA検査に加えて、頸動脈エコー、血液検査、心電図、腫瘍マーカー検査などを組み合わせるほど費用は高くなります。

日本はMRI装置の数が世界でも多く、諸外国に比べると比較的安価で受けられる点が特徴です。

例えば海外ではMRI撮影だけで10万円を超えるケースもありますが、日本では同じ検査をより低コストで受けられる環境が整っています。

ただし脳ドックは基本的に保険適用外の自由診療となるため、受診前に料金表を確認し、希望する検査が含まれているかをチェックしておくことが大切です。

脳ドックの所要時間は1時間半~3時間程度

脳ドックの検査にかかる時間は、一般的に1時間半〜3時間程度です。

主な検査時間の目安としては、MRI・MRA検査が約30~40分、頸動脈エコーが約20分、心電図や血圧脈波検査がそれぞれ5分程度です。

これらを組み合わせるため、トータルでは1時間半〜3時間程度かかるケースが多いです。

検査内容や医療機関によって変わるため、脳ドックを受ける医療機関に直接問い合わせて確認しておくとよいでしょう。

忙しい方や短時間で受けたい方は、頭部MRI検査のみなどの単独検査を用意している施設を選ぶのもおすすめです。

脳ドックを受けるときの注意点

脳ドックを受けるときの注意点

脳ドックは安全に受けられる検査ですが、MRIという強い磁場を使う機器を用いるため、いくつかの注意点があります。

  • アクセサリーや時計、ベルトなどの金属類はすべて外す
  • アイメイクやファンデーションは落としておく
  • カラーコンタクトレンズは外す
  • 義歯・入れ歯・補聴器なども外すよう指示される場合がある

化粧品やヘアスプレーなどには微量の金属成分が含まれていることがあるため、基本的にはすっぴんで受診するのが望ましいでしょう。

MRI室では磁気が強く作用するため、スマートフォンやICカードなども持ち込みできません。

脳ドックを受けられない恐れがある人

脳ドックを受けられない恐れがある人

脳ドックでは、MRIという強力な磁場を発生させる検査装置を使用するため、安全上の理由から受診が難しい場合があります。

脳ドックを受けられない恐れがあるのは以下のような人です。

  • 妊娠中または妊娠の可能性がある人
  • 心臓ペースメーカーなどの医療機器を体内に埋め込んでいる人
  • 脳動脈瘤の手術を受けたことがある人
  • 手術などで体内に金属が入っている人
  • 磁石に反応するインプラントを埋め込んでいる人
  • タトゥーやアートメイクをしている人
  • 閉所恐怖症の人

上記に当てはまる場合は、受診前に必ず医療機関へ相談しましょう。

まとめ

脳ドックは、脳の異常を早期発見するための重要な検査です。

特に、30歳以上の方、脳卒中や認知症の家族がいる方、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を持っている方、肥満傾向がある方などは一度検査を受けておくことをおすすめします。

脳神経外科 福島孝徳記念クリニックでは、頭痛やめまいといった症状がなくても受けていただける脳ドック検査を行っています。

脳血管と頸部の血管、脳血流の検査なども同時に行っているため、今回解説した内容に当てはまる方や脳の健康状態を確認したい方は、ぜひ当院の受診をご検討ください。

「脳ドック」について詳しく見る

記事監修者

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長 佐々木裕亮

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック院長 佐々木裕亮

  • 大阪医科大学医学部卒
  • 新百合ヶ丘総合病院脳神経外科
  • 森山記念病院 福島孝徳脳神経センター副部長
  • 総合東京病院脳神経外科医長
  • 晃友脳神経外科眼科病院 福島孝徳脳腫瘍センター長
  • 福島式鍵穴手術・頭蓋底手術「免許皆伝之証」授与
  • 脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長(現在)

院長情報を詳しく見る

頭痛外来

脳ドッグ

セカンドオピニオン外来

オンライン診療
公式Youtube

公式インスタグラム公式Tiltok公式X


公式onlineshop