MRI検査は、脳や内臓、関節などの異常を詳しく調べられる検査です。
放射線を使わずに体の内部を画像化できるため、安全性が高く、多くの病気の早期発見にも役立ちます。
しかし、「MRI検査は高額なのでは？」と不安に感じる方も少なくありません。
この記事では、MRI検査の費用について詳しく解説します。
MRI検査にかかる時間や検査を受けられない人、よくある質問などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
MRI検査とは
MRI検査は、磁気の力を使って体の内部を画像化する検査方法です。
正式には『Magnetic Resonance Imaging（磁気共鳴画像）』といい、放射線を使用せずに体の臓器や血管、筋肉などの状態を詳しく調べられます。
検査の際はトンネル状の装置の中に入り、強い磁場を当てて体の中の水素原子の動きを読み取り、その情報を画像として再現します。
放射線による被ばくの心配がないため、体への負担が少ないのが特徴です。
ここではMRI検査の目的やわかる病気、CT検査との違いなどについて解説します。
MRI検査の目的
MRI検査の目的は、体の内部にある臓器や血管、筋肉などの状態を詳しく調べることです。
一般的には、脳や脊髄、関節、内臓の異常を確認する際に用いられます。
例えば頭痛やめまい、手足のしびれなどの症状がある場合には、脳や神経の病気がないかを確認するためにMRI検査を実施します。
また、整形外科では椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などを特定する目的で実施するケースも多いです。
さらに、MRI検査は治療後の経過観察にも利用され、腫瘍や炎症などが時間とともにどのように変化しているかを確認するのにも役立ちます。
MRI検査でわかる病気
MRI検査では、体のさまざまな病気を発見できます。
| 検査部位 | 発見できる主な病気 |
|---|---|
| 脳・頭部 | 脳血管疾患（脳卒中や脳腫瘍など）、脳奇形、変性疾患、外傷など |
| 脊椎・脊髄 | 椎間板ヘルニア、頸椎症、脊柱管狭窄症、脊椎腫瘍など |
| 四肢 | 骨肉腫、転移性骨腫瘍、大腿骨頭壊死、前十字靭帯断裂、骨挫傷など |
| 肝臓・胆嚢・胆道・膵臓 | 肝臓がん、胆嚢がん、胆道がん、膵臓がんなど |
| 子宮・卵巣 | 子宮がん、卵巣がんなど |
| 前立腺 | 前立腺がんなど |
MRI検査でわかる代表的な病気としては、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、脳動脈瘤などの脳疾患があります。
また、認知症の早期発見にも役立ち、脳の萎縮の程度を調べることも可能です。
整形外科領域では、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、靭帯や腱の損傷、関節の炎症などを詳しく確認できます。
このようにMRI検査はさまざまな病気の早期発見や治療方針の決定のために欠かせない検査です。
CT検査との違い
MRI検査とCT検査はどちらも体の内部を画像化する検査ですが、原理と得意分野が異なります。
| MRI検査 | CT検査 | |
|---|---|---|
| 検査方法 | 磁場を利用して体の内部を画像化する検査方法 | X線（放射線）を用いて体の断面を撮影する検査方法 |
| 特徴 | 筋肉・脳・神経などの軟部組織構造を鮮明に描出できる | 骨・肺などの硬い組織を短時間で鮮明に撮影できる |
| 放射線被ばくのリスク | なし | あり |
| 検査時間 | 比較的長い | 比較的短い |
CT検査はX線を使って体の断面を撮影するのに対し、MRI検査は磁場を利用して画像を作ります。
そのためCT検査では放射線による被ばくがある一方、MRI検査にはその心配がありません。
CT検査は骨や肺などの硬い組織を短時間で鮮明に撮影できるため、交通事故などの緊急時に有効です。
一方、MRI検査は筋肉や脳、神経などの軟部組織を詳しく映し出せるのが特徴です。
MRI検査とCT検査にはそれぞれ向き・不向きがあるため、医師が症状に応じて適した検査を選択します。
MRI検査の費用相場
MRI検査の費用は、保険の有無や使用する機器の性能によって異なります。
一般的に健康保険が適用される場合、自己負担は5千円〜1万円程度が目安です。
MRIは高額な検査というイメージを持つ方もいますが、実際には保険が適用されるケースが多いため、過度に心配する必要はありません。
ここではMRI検査の費用について詳しく解説します。
健康保険が適用される場合は5千円～1万円程度
MRI検査は、医師が「診断に必要」と判断した場合に健康保険が適用されます。
その場合、自己負担は5千円〜1万円前後です。
3割負担の方で6千円前後、1割負担で2千円前後が目安になります。
検査内容や病院の規模によって多少の差はありますが、大きく変わることはありません。
なお、健康診断や人間ドックの一環として本人の希望で受ける場合は、医療行為とみなされないため保険適用外となり、全額自己負担になります。
この場合の費用は2万円〜5万円程度です。
費用を抑えるためにも、検査が保険適用になるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。
また、造影剤を使用した検査では追加料金が発生するため、検査前に医師から説明を受けておきましょう。
使用するMRIの性能によっても異なる
MRI検査の費用は、使用する機械の性能によっても変わります。
高性能のMRIを導入している施設では、より詳細な画像を得られる反面、検査費用もやや高くなる場合があるため注意が必要です。
例えば同じ検査内容でも、高性能MRIを使用する施設では1万円前後、標準的な装置では5千円程度になることもあります。
検査内容や費用は医療機関によって異なるため、使用する機器の種類や費用の目安についてあらかじめ確認しておくと安心です。
MRI検査にかかる時間
MRI検査にかかる時間は検査部位や目的によって多少前後しますが、一般的には30分〜40分程度が多いです。
ここではMRI検査にかかる時間の目安について解説します。
検査時間は30分～40分程度
MRI検査の撮影時間は検査する部位によって異なりますが、一般的には30分〜40分程度が目安です。
脳や頸椎の検査では15〜30分程度、腰や膝などの検査では30〜60分かかることもあります。
MRIは細かい断面を撮影していくため、より鮮明な画像を得ようとすると時間がかかります。
また、次のような場合には検査時間が長引きやすい傾向にあるため、あらかじめ理解しておくと安心です。
- 検査に造影剤を使用する場合
- 撮影部位が複数ある場合
- 画像が不鮮明で撮り直しが必要になる場合
- 医療機関が混雑している場合
検査中は筒状の装置の中で横になり、体を動かさずにいる必要があるため、途中で動いてしまうと画像がぼやけて再撮影になることもあります。
そのため、撮影時間を短くするためには、リラックスしてじっとしていることが大切です。
通常のMRI検査にかかる時間は、受付から会計までを含めて1時間程度を想定しておくと良いでしょう。
結果が出るまで数日かかることもある
MRI検査の結果は、当日すぐにわかる場合もあれば、数日後に説明を受ける場合もあります。
多くの医療機関では撮影後に放射線科専門医が画像を詳しく解析し、その結果を主治医へ報告する流れになっているため、詳細な診断結果が出るまでに数日かかることがあります。
検査当日に医師から簡単な所見を伝えられる場合もありますが、正式な結果説明は後日の診察で行われるケースも多いです。
また緊急性の高い症状が疑われる場合には、優先的に解析が行われ、数時間以内に結果が出るケースもあります。
医療機関の体制によって対応は異なるため、検査前にあらかじめ確認しておくと安心です。
※当院では原則、検査当日に結果説明が可能です。
MRI検査を受けられない可能性がある人
MRI検査を受けられない可能性があるのは以下のような人です。
- 心臓ペースメーカーを装着している人
- 体内に金属製インプラントがある人
- タトゥーやアートメイクをしている人
- 閉所恐怖症の人
ここでは上記4つの特徴についてそれぞれ解説します。
心臓ペースメーカーを装着している人
心臓ペースメーカーや人工内耳などの電子機器を体内に埋め込んでいる方は、MRI検査を受けられない可能性があります。
MRI装置は非常に強い磁場を発生させるため、これらの電子機器が原因で誤作動したり故障したりする危険があるためです。
特に心臓ペースメーカーの故障は命に関わる恐れがあり、機械の種類によっては使用が禁じられています。
近年ではMRI対応型のペースメーカーも登場していますが、その場合でも対応している機器や設定、病院側の設備条件が整っている必要があります。
ペースメーカーを装着している方は、検査予約の段階で必ず申告し、MRIが可能かどうかを医師に確認することが大切です。
体内に金属製インプラントがある人
体内に金属が埋め込まれている人も、MRI検査を受けられない場合があります。
金属は磁力に反応するため、強い磁場の中で動いたり発熱したりする危険があるためです。
例えば骨折の治療で使われたボルトやプレート、避妊リング、金属クリップなどが該当します。
ただし、最近ではMRI対応の金属が使われることも多く、必ずしも全員が検査を受けられないわけではありません。
インプラントの材質や製造時期によって対応が異なるため、手術を受けた際の情報を医師に伝えることが大切です。
不明な場合は、手術を受けた医療機関に確認してからMRI検査を受けましょう。
タトゥーやアートメイクをしている人
タトゥーやアートメイクには、金属成分が含まれていることがあります。
MRI検査では強い磁場が発生するため、これらの金属が反応して発熱や痛み、軽い火傷を起こす可能性があるため注意が必要です。
また、インクの金属成分が画像に影響を与え、正確な診断ができなくなる場合もあります。
検査を受ける際は、タトゥーやアートメイクをしている箇所を必ず申告しましょう。
閉所恐怖症の人
MRI検査はトンネル状の狭い装置の中で行われるため、閉所恐怖症の人にとっては大きな不安を感じる検査です。
撮影中は体を動かさずに30分ほど横になっていなければならないため、息苦しさや緊張から検査を途中で中断してしまうこともあります。
この場合は、オープン型のMRI装置を導入している医療機関を選ぶのがおすすめです。
このタイプのMRI装置は開放感のある構造で圧迫感が少なく、安心して検査を受けられます。
閉所恐怖症がある人は我慢せず、必ず事前に医療スタッフへ相談しましょう。
MRI検査に関するよくある質問
MRI検査に関するよくある質問をまとめました。
- MRI検査を受けるときの注意点は？
- MRI検査の流れは？
ここでは上記2つの質問についてそれぞれ解説します。
MRI検査を受けるときの注意点は？
MRI検査を受けるときの注意点は以下の通りです。
- 金属製のものをすべて外す（アクセサリー、腕時計、携帯電話など）
- コンタクトレンズやメイクをしたまま検査を受けない
- 湿布や貼付薬は取ってから検査を受ける
- ヒートテックは火傷のリスクがあるため着ない
- クレジットカードや交通系ICカードも持ち込まない
MRI検査は、金属を身につけたままでは検査ができません。
MRI装置は非常に強い磁場を発生させるため、アクセサリーや腕時計、眼鏡、ベルト、補聴器、携帯電話などを持ち込むと機械に吸い寄せられたり、壊れたりする恐れがあります。
また、カラーコンタクトやラメ入り化粧品などにも金属が含まれる場合があり、火傷の原因になることがあります。
化粧はできるだけ落としてから検査に臨みましょう。
MRI検査の流れは？
MRI検査の基本的な流れは以下の通りです。
- 検査予約をする
- 検査当日に受付を済ませ、看護師・検査技師から説明を受ける
- 検査着に着替える（着替えなくても良い場合もあります）
- 検査台に横になり、検査を受ける（検査中は動かず静止する）
- 検査終了後、結果の説明を受ける
具体的な流れは医療機関によって異なる場合があるため、検査を受ける医療機関に確認してみましょう。
まとめ
MRI検査は、医師が必要と判断した場合に健康保険が適用され、自己負担額は5千円～1万円程度が目安となります。
健康チェックなどの目的で自費で受ける場合は、2万〜5万円程度が目安です。
脳神経外科 福島孝徳記念クリニックでは、早期発見・早期治療を第一に考えた脳ドックを行っています。
当院では原則として検査結果の説明を当日に行っているため、すぐに結果を知りたいという方にもおすすめです。
脳の状態が気になる方は、ぜひ当院までご相談ください。
記事監修者
