めまいをすぐに治す方法は?受診目安や予防方法も解説

めまいをすぐに治す方法は?受診目安や予防方法も解説

めまいは、突然ふらついたり、ぐるぐると周囲が回るような感覚に襲われたりする症状です。

立ち上がった瞬間や疲れているときなど、誰にでも起こり得る身近な症状ですが、その原因や対処法はさまざまです。

この記事では、めまいをすぐに治す方法について詳しく解説します。

めまいの主な種類や原因となる病気、病院を受診すべき症状、予防方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

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めまいとは

めまいとは

めまいとは、視界がぐるぐると回ったり、ふわふわと浮いたりするように感じる症状のことをいいます。

平衡感覚をつかさどる内耳や脳の働きに乱れが生じることで起こる症状です。

ここではめまいが起こるメカニズムや主な種類について解説します。

めまいが起こるメカニズム

めまいの多くは、体のバランスを感じ取る『内耳』が関係しています。

内耳には三半規管と耳石器という器官があり、向きを変えたり動いたりしたときに、その動きを感知して脳へ伝える役割を担っています。

ところが、耳石器の中にある耳石が剥がれて三半規管に入り込むと、リンパ液の流れが乱れて脳に誤った情報が送られてしまうのです。

これがめまいのおよそ4割を占める『良性発作性頭位めまい症』で起こる回転性めまいの仕組みです。

また、脳の血流が一時的に悪くなることで、脳に十分な酸素が行き届かず、立ちくらみのような『眼前暗黒感めまい』が起こることもあります。

さらにストレスや自律神経の乱れによって平衡感覚がうまく保てなくなることも、めまいの一因とされています。

めまいの主な種類

めまいには主に以下の3つの種類があります。

  • 回転性めまい
  • 浮動性めまい
  • 眼前暗黒感めまい

それぞれ原因や症状の現れ方が異なります。

回転性めまい

回転性めまいは、自分や周囲がぐるぐる回っているように感じるタイプのめまいです。

目を閉じても天井が回っているように感じたり、姿勢を変えた瞬間にめまいが強く出たりするのが特徴です。

原因の多くは耳の奥にある三半規管や耳石器の異常によるもので、良性発作性頭位めまい症やメニエール病などでよく見られます。

浮動性めまい

浮動性めまいは、ふわふわと体が浮いているような感覚や、地面が揺れているような感覚が起こるタイプのめまいです。

車酔いや船酔いに似た感覚と表現されることもあります。

主に脳や自律神経の不調が関係しており、脳梗塞や脳腫瘍など脳の疾患の初期症状として現れることもあります。

症状が続く場合は早めに医療機関を受診することが大切です。

眼前暗黒感めまい

眼前暗黒感めまいは、立ち上がったときなどに目の前が真っ暗になり、意識が遠のくように感じるめまいです。

いわゆる『立ちくらみ』と呼ばれるもので、脳への血流が一時的に悪くなることで起こります。

低血圧や貧血、起立性調節障害などに起因して発症するケースが多いです。

特に朝起きた直後や長時間座っていたあとに立ち上がる際に起こりやすい傾向があります。

めまいの原因となる病気

めまいの原因となる病気

めまいの原因となる病気には以下のようなものがあります。

  • 良性発作性頭位めまい症
  • メニエール病
  • 前庭神経炎
  • 突発性難聴
  • 内耳炎
  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 脳腫瘍
  • くも膜下出血

ここでは上記の病気についてそれぞれ解説します。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は、めまいの原因の中でも特に多く見られる病気です。

内耳の耳石器にある耳石が何らかのきっかけで剥がれ、三半規管の中に入り込むことで発症します。

この耳石がリンパ液の流れを乱し、脳に誤った動きの情報を伝えるため、自分や周囲が回っているように感じるのです。

横になる、起き上がる、寝返りを打つなど、頭の位置を変えたときにめまいが起こりやすいのが特徴で、数十秒から数分程度で治まることが多いです。

耳鳴りや難聴は伴わず、じっとしていれば症状が軽くなります。

命に関わる病気ではありませんが、再発しやすいため注意が必要です。

メニエール病

メニエール病は、内耳にあるリンパ液の量が増加することで起こる病気で、めまいだけでなく耳鳴りや難聴などを伴う点が特徴です。

めまいは回転するような激しいものが多く、数時間続くこともあります。

メニエール病の診断基準は、『耳鳴りや難聴といった聴覚症状を伴う発作が繰り返し起こること』です。

聴覚症状のみ、またはめまいのみを繰り返す場合には『メニエール病非定型例』と診断されることがあります。

前庭神経炎

前庭神経炎は、内耳から脳へ体のバランス情報を伝える『前庭神経』に炎症が起こる病気です。

風邪やウイルス感染のあとに発症することが多く、突然、強い回転性のめまいが現れます。

めまいは数日間続くことがあり、安静にしてもすぐには治まりません。

また、吐き気や嘔吐を伴うこともありますが、耳鳴りや難聴はないのが特徴です。

突発性難聴

突発性難聴は、ある日突然、片方の耳が聞こえにくくなる病気です。

耳の閉塞感や耳鳴り、そしてめまいを伴うことがあります。

原因ははっきりとはわかっていませんが、ウイルス感染や内耳の血流障害などが関係していると考えられています。

発症してから早い段階で治療を始めるほど聴力が回復しやすい傾向があるため、耳が聞こえにくくなったと感じたらすぐに医療機関を受診することが大切です。

内耳炎

内耳炎は、内耳に細菌やウイルスが感染して炎症を起こす病気です。

中耳炎が悪化して内耳にまで炎症が広がるケースも多く見られます。

内耳に炎症が起こるとめまいやふらつき、吐き気、耳鳴り、難聴などが現れます。

放置すると平衡感覚の障害が長引く恐れがあるため、早めに治療を行うことが大切です。

また、風邪や中耳炎の段階でしっかり治すことが、内耳炎の予防にもつながります。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血液が脳の一部に届かなくなることで起こる病気です。

血液が届かなくなると、その部分の神経細胞が酸素不足で死んでしまい、体の麻痺や言葉が出にくくなるなどの症状が現れます。

めまいやふらつきが起こるのは、脳の平衡感覚をつかさどる部分の血流が止まってしまうためです。

脳梗塞は高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因となることが多く、予防のためには食生活の改善や禁煙が重要です。

また、発症直後の治療が非常に重要で、数時間以内に治療を始めることで後遺症を軽減できる可能性があります。

脳出血

脳出血は、脳の血管が破れて出血した状態です。

症状としては、突然の激しい頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれや麻痺、言葉が出にくいなどが挙げられます。

出血量が多い場合は命に関わることもあるため、早急な処置が必要です。

内視鏡により血腫を直接除去する手術が一般的な治療方法となります。

脳出血は主に高血圧が原因で起こるため、普段から血圧を適切に管理し、塩分を控えた食事を心がけることが予防につながります。

脳腫瘍

脳腫瘍は、脳の中にできるしこりのことです。

脳そのものに発生する『原発性脳腫瘍』と、ほかの臓器のがんが転移してできる『転移性脳腫瘍』に分かれます。

腫瘍が大きくなると頭痛や吐き気、視力障害、手足の麻痺、そしてめまいなどが現れます。

朝起きた直後や体を動かしたときに症状が強く出るのが特徴です。

早期発見により治療の選択肢が広がるため、長く続く頭痛やめまいがある場合は精密検査を検討しましょう。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳を覆う『くも膜』という部分の下にある血管の瘤が破れて出血する病気です。

くも膜下に血液がたまるため、脳全体に強い圧力がかかり、命に関わる危険性が非常に高い病気です。

突然「バットで殴られたような激しい頭痛」とともに、めまい、吐き気、意識の低下などが現れます。

発症からの対応が遅れると後遺症が残ることも多いため、強い頭痛や意識障害を伴うめまいがあれば、すぐに救急車を呼びましょう。

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めまいが起こったときにすぐに試せる対処法

めまいが起こったときにすぐに試せる対処法

めまいが起こったときは、焦らず落ち着いて対処することが大切です。

具体的には以下のような対処法を試すとよいでしょう。

  • 座るか横になって安静にする
  • 脱水症状がある場合は水分を摂取する
  • 音や光による刺激を遮断する
  • 薬を服用する

ここでは上記4つの対処法についてそれぞれ解説します。

座るか横になって安静にする

めまいを感じたら、まずはその場で座るか横になって体を安静にしましょう。

無理に立ち続けると転倒の危険があるため、周囲に支えのある場所を選び、体を休ませることが大切です。

横になるときは、頭を少し低めにして、悪い方の耳が上になるようにすると症状が楽になることがあります。

強い吐き気があるときは横向きに寝て気道を確保することで、嘔吐物が喉に詰まるのを防げます。

数分ほど安静にしても改善しない場合や、しびれや言葉が出にくい症状を伴うときは、すぐに医療機関を受診してください。

脱水症状がある場合は水分を摂取する

めまいを感じたら、できるだけ早く水分を摂取しましょう。

水分だけでなく塩分も一緒に摂ると効果的なため、スポーツドリンクや経口補水液を飲むのもおすすめです。

冷たい飲み物は胃を刺激して吐き気を悪化させることがあるため、常温かぬるめの飲み物を選びましょう。

もし吐き気が強くて水分が取れない場合は、無理せず医療機関で点滴を受けるようにしてください。

音や光による刺激を遮断する

明るい光や大きな音は脳への負担を増やし、ふらつきや吐き気を悪化させることがあります。

そのため、めまいを感じたらカーテンを閉め、照明を暗くして静かな環境で休みましょう。

テレビやスマートフォンの画面を見るのも刺激となるため、なるべく避けてください。

静かで暗い場所で目を閉じて深呼吸するだけでも、体の緊張が和らぎ、症状が落ち着く場合があります。

薬を服用する

めまいの症状が強い場合は、医師から処方された薬を服用しましょう。

医療機関では、めまい止めや吐き気を抑える薬、血流を改善する薬など、症状や原因に合わせた薬が処方されます。

市販薬を使用する場合は用法・用量を必ず守り、眠気が出るタイプの薬を服用したあとは車の運転や危険作業を控えましょう。

また、薬を飲んでも改善しない場合や副作用が出た場合は、すぐに医師に相談してください。

薬はあくまで一時的な対処法であるため、原因となる病気を治すには医療機関での検査と治療が必要です。

病院を受診すべきめまいの症状

病院を受診すべきめまいの症状

めまいは一時的な体調不良や疲れによって起こるケースが多いですが、中には重大な病気のサインであることもあります。

特に脳や神経の異常によるめまいは、命に関わる可能性もあるため注意が必要です。

以下のような症状があるときは、自己判断せず医療機関に相談しましょう。

  • めまいが長時間続く
  • ろれつが回らない
  • 意識がもうろうとする
  • 手足がしびれている
  • 物が二重に見える
  • 経験したことのない頭痛・吐き気・耳鳴りがある

立ち上がったときにふらつく程度の軽いめまいであっても、何度も繰り返すようであれば慢性的な原因(貧血や自律神経の乱れなど)の可能性があります。

原因を特定して再発を防ぐためにも、医療機関の受診を検討しましょう。

めまいの予防方法

めまいの予防方法

めまいを予防するためには、生活習慣を整えることが大切です。

具体的には以下のような予防方法を意識して生活しましょう。

  • 寝返り運動をする
  • ストレスを発散する
  • 適度に運動・ストレッチをする
  • 十分な睡眠時間を確保する
  • 栄養バランスの整った食事を心がける
  • 禁煙する

ここでは上記6つの予防方法についてそれぞれ解説します。

寝返り運動をする

良性発作性頭位めまい症の予防には、寝返り運動が効果的です。

耳の中にある耳石は、寝る姿勢が偏ると特定の方向にたまりやすくなり、めまいの原因になります。

寝返り運動を行うことで耳石の偏りを防ぎ、内耳のバランスを保つことができます。

具体的な方法は以下の通りです。

  1. 仰向けになって10秒維持する
  2. 顔だけ右を向いて10秒維持する
  3. 仰向けに戻って10秒維持する
  4. 顔だけ左を向いて10秒維持する

上記を1セットとして、5回ほど繰り返します。

首が痛いときは体ごと向きを変えても構いません。

朝起きる前と寝る前の1日2回行うことを習慣にするのがおすすめです。

ストレスを発散する

めまいを予防するためには、ストレスをため込まず、こまめに発散することが大切です。

リラックスできる時間をつくる、趣味を楽しむ、深呼吸や軽い運動をするなど、自分に合った方法を見つけましょう。

精神的な疲れを減らすことで、めまいの予防につながります。

適度に運動・ストレッチをする

適度な運動は血流を改善し、自律神経のバランスを整える効果があります。

特にウォーキングやストレッチなどの軽めの有酸素運動を習慣づけると、体の緊張がほぐれ、めまいの起こりにくい体をつくることができます。

激しい運動よりも、無理なく続けられる運動を行うことが大切です。

また、長時間同じ姿勢で過ごすと血流が滞り、ふらつきの原因になることがあるため、デスクワーク中も1時間に1回は立ち上がって体を動かすようにしましょう。

十分な睡眠時間を確保する

睡眠不足はめまいを悪化させる大きな原因の一つです。

毎日6〜8時間の睡眠を確保し、決まった時間に起床・就寝することで、自律神経のリズムが整いやすくなります。

また、寝る前のスマートフォンやカフェインの摂取を控え、リラックスした環境で眠ることも大切です。

睡眠の質を高めることで、めまいの予防につながります。

栄養バランスの整った食事を心がける

めまいを予防するためには、栄養バランスの整った食事を心がけることが大切です。

特に、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKなどを意識的に摂ることが大切です。

サーモン、卵、レバー、納豆、ほうれん草など、必要な栄養素を多く含む食品を積極的に取り入れましょう。

また、塩分の摂りすぎはむくみや血流の悪化を引き起こすため、控えめにしてください。。

1日3食をきちんと摂り、健康的な食生活を維持することがめまい予防の基本となります。

禁煙する

喫煙は血流を悪化させ、脳卒中や心疾患を引き起こすリスクがあります。

これらの病気の症状によるめまいを防ぐためにも、禁煙は大切です。

自力での禁煙が難しい場合には、禁煙外来を受診するのもおすすめです。

医療の力により無理なく禁煙を目指せるため、悩んでいる方は検討してみてください。

まとめ

めまいが突然起きたら、安静にする、水分を摂る、光や音の刺激を避けるなどの対処法を試してみましょう。

一時的な原因であれば上記の対処法で落ち着く場合が多いですが、症状が強い場合や繰り返す場合は病院での検査が必要です。

脳神経外科 福島孝徳記念クリニックでは、めまいの原因を特定するためのMRI検査を行っています。

MRI検査により病気の早期発見・早期治療が可能なため、めまいにお悩みの方はぜひ当院の受診をご検討ください。

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記事監修者

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長 佐々木裕亮

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック院長 佐々木裕亮

  • 大阪医科大学医学部卒
  • 新百合ヶ丘総合病院脳神経外科
  • 森山記念病院 福島孝徳脳神経センター副部長
  • 総合東京病院脳神経外科医長
  • 晃友脳神経外科眼科病院 福島孝徳脳腫瘍センター長
  • 福島式鍵穴手術・頭蓋底手術「免許皆伝之証」授与
  • 脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長(現在)

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