頭痛外来とは?主な症状・検査・診断方法や受診目安について解説

頭痛外来とは?主な症状・検査・診断方法や受診目安について解説

頭痛は誰にでも起こる身近な症状ですが、原因や対処法は人によって異なります。

中には「市販薬でなんとかしている」「我慢すれば治る」と考えている方も多いでしょう。

しかし、頭痛の中にはくも膜下出血や脳腫瘍など、放置すると命に関わる病気が隠れていることもあります。

こうした頭痛の正確な原因を調べ、一人ひとりに合った治療を行うのが『頭痛外来』です。

この記事では、頭痛外来とはどのような専門外来なのか詳しく解説します。

頭痛外来で診てもらえる症状、診断・検査方法、受診するメリットなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

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頭痛外来とは

頭痛外来とは

頭痛外来とは、頭痛に特化して診察・治療を行う専門の外来です。

頭痛は多くの人が経験する症状ですが、単なる疲れやストレスだけが原因ではなく、300種類以上の頭痛が知られています。

中には、脳の病気など重大な疾患が隠れている場合もあります。

そのため、自己判断で市販薬を飲み続けるのではなく、専門医による診断を受けることが大切です。

頭痛外来ではまず問診や診察で、頭痛が「命に関わる病気によるもの」か「慢性的な頭痛」なのかを見極めます。

命に関わる可能性がある場合は、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍などを疑い、CTやMRIなどの検査を行います。

慢性頭痛と判断された場合は、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などのタイプに合わせて、薬物療法や生活指導を行い、症状のコントロールを目指すのが基本です。

また、頭痛外来では脳神経内科や脳神経外科、内科、ペインクリニック(痛みを専門的に診断、治療する診療科)など、様々な分野の医師が連携し、原因を多角的に調べることができます。

頭痛に悩んでいる方は、一度頭痛外来で相談してみると良いでしょう。

頭痛外来で診てもらえる症状

頭痛外来で診てもらえる症状

頭痛外来では、日常的に起こる慢性的な頭痛から命に関わる可能性のある頭痛まで幅広く診察しています。

ここでは、頭痛外来で診てもらえる症状について解説します。

一次性頭痛

一次性頭痛とは、脳の病気やケガなどの明確な原因がなく、頭痛そのものが主な症状として現れるタイプです。

多くの慢性頭痛がこの一次性頭痛に分類されます。

代表的な種類は以下の通りです。

  • 片頭痛
  • 群発頭痛
  • 緊張型頭痛
  • 薬物乱用頭痛

いずれも命に関わるものではありませんが、日常生活に大きな支障をきたすことが多く、放置すると仕事や学業に影響することもあります。

片頭痛

片頭痛は、「ズキズキ」「ガンガン」と脈打つような痛みが特徴の頭痛です。

頭の片側、または両側に強い痛みが出て、光や音、においに敏感になることがあります。

吐き気や嘔吐を伴う場合も多く、痛みが数時間から3日ほど続くこともあります。

ストレスや寝不足、気圧の変化、ホルモンバランスの影響などがきっかけになることがあり、女性に多く見られる頭痛です。

発作の前に『閃輝暗点』と呼ばれるキラキラした光が見える人もいます。

群発頭痛

群発頭痛は、非常に強い痛みを特徴とするもので、「目をえぐられるような痛み」と表現されることもある頭痛です。

片側の目の奥からこめかみにかけて痛みが出るのが特徴で、数分で急激に痛みが強くなり、数分から3時間ほど続きます。

発作は1日に数回起こり、1〜2か月の間、毎日のように繰り返すことがあります。

発作中は痛みのある側の目が充血したり、涙が出たり、鼻が詰まったりといった症状を伴うのも特徴の一つです。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭を締め付けられるような重い痛みが特徴です。

頭の両側や後頭部、首や肩にかけて痛みやだるさを感じます。

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、姿勢の悪さなどで首や肩の筋肉がこわばり、血流が悪くなることが主な原因です。

片頭痛と違って吐き気は少なく、体を動かしても痛みが悪化することはありません。

痛みは数時間でおさまることもあれば、何日も続く場合もあります。

薬物乱用頭痛

薬物乱用頭痛は、様々な薬剤を長期間、頻繁に使用することで起こる頭痛です。

精神疾患に対する薬剤を多剤内服している方や、片頭痛や緊張型頭痛に対して市販薬などを自身の判断で、長期間数種類使用している方などが発症します。

薬を10日以上服用する状態が3か月以上続くと、発症のリスクが高まります。

自己判断で薬をやめると、頭痛の悪化や吐き気といった離脱症状が出ることもあるため、医師の指導のもとで徐々に減量していくことが大切です。

二次性頭痛

二次性頭痛とは、他の病気が原因となって発生する頭痛のことです。

つまり、頭痛そのものが病気の本体ではなく、体のどこかで起こっている異常のサインとして現れています。

代表的な原因は以下の通りです。

  • 風邪や発熱
  • くも膜下出血や脳出血
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎

特に脳や血管に関わる病気が原因の場合は、放置すると命に関わる危険性もあるため注意が必要です。

ここでは上記4つの原因についてそれぞれ解説します。

風邪や発熱

風邪や発熱に伴う頭痛は、体の免疫反応によって起こる比較的よくある症状です。

ウイルスや細菌に感染すると、体温を上げて病原体と戦う過程で炎症物質が分泌されます。

この炎症が脳の血管や神経を刺激することで頭痛が生じるのです。

頭の重さや鈍い痛みを感じることが多く、発熱や喉の痛み、鼻づまりなどの症状を伴うのが特徴です。

多くの場合、十分な休養・水分補給・解熱鎮痛薬の使用などにより改善します。

しかし、高熱が続いたり痛みが強く長引いたりする場合は、インフルエンザや肺炎、髄膜炎など別の病気が隠れていることもあります。

自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、症状が重いときや異常を感じるときは医療機関を受診し、原因を確認することが大切です。

くも膜下出血や脳出血

くも膜下出血や脳出血は、命に関わる危険な頭痛の原因です。

特にくも膜下出血は「バットで殴られたような痛み」と表現されるほど突然激しい痛みが生じるのが特徴で、吐き気や意識障害を伴うことがあります。

脳動脈瘤という血管のこぶが破裂し、脳の表面に出血が広がることで起こる症状です。

出血量が少ない場合は軽い頭痛で済むこともありますが、そのまま放置すると再出血を起こし、命に関わる状態になることもあります。

そのため、「今までにない痛み」や「急に頭が割れるように痛む」と感じた場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

CTやMRI検査で早急に診断し、適切な治療を行うことが重要です。

脳腫瘍

脳腫瘍は、脳やその周囲にできる腫瘍が原因で頭痛が起こる場合があります。

腫瘍が大きくなると、脳を圧迫したり頭蓋骨内の圧力が上がったりすることで痛みが出るのです。

朝方に強い痛みを感じる、頭痛で目が覚める、起きてしばらくすると痛みが軽くなるといった特徴があります。

また、吐き気や嘔吐、手足のしびれ、視界のかすみなど神経に関わる症状を伴うこともあります。

脳腫瘍による頭痛は初期段階では軽く、片頭痛や緊張型頭痛と区別がつかないこともありますが、症状が長引く場合や徐々に悪化する場合は受診が必要です。

髄膜炎

髄膜炎は、脳や脊髄を覆っている膜(髄膜)が炎症を起こす病気です。

ウイルスや細菌の感染が主な原因で、高熱、強い頭痛、吐き気、首の痛みなどを伴います。

特に細菌性髄膜炎は進行が早く、治療が遅れると命に関わる危険性があります。

頭痛は強く、ズキズキとした痛みが続くのが特徴です。

風邪のような症状から始まることもあるため、見逃されやすい病気でもあります。

強い頭痛と発熱、吐き気が同時に出た場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。

頭痛外来の受診目安

頭痛外来の受診目安

頭痛は多くの人が経験する身近な症状ですが、なかには命に関わる病気が隠れている場合もあります。

市販薬で一時的におさまっても、繰り返し痛みが出たり、これまでと違う痛み方をしたりする場合は注意が必要です。

自己判断で放置せず、早めに頭痛外来を受診しましょう。

受診を検討する目安として、以下のようなケースが挙げられます。

  • 頭痛のせいで仕事や学校を休む・遅刻する・早退することがある
  • 鎮痛薬を週に1回以上飲んでいる
  • 鎮痛薬の服用回数が増えた、または効きが悪くなっている
  • 生理のたびに強い頭痛が起きる
  • 天候や気圧の変化で頭痛が悪化する
  • 痛くなるのが怖くて早めに薬を飲んでしまう
  • 今までの頭痛と性質が変わった

これらのサインがある場合は、慢性的な一次性頭痛だけでなく、脳の病気による二次性頭痛の可能性もあります。

特に「これまで経験したことのない激しい痛み」「吐き気や嘔吐を伴う」「手足のしびれや視界の異常がある」などの症状が見られるときは、すぐに受診することが大切です。

頭痛外来では、問診やCT・MRIなどの画像検査を行い、原因を正確に調べたうえで治療方針を立てます。

早期に受診することで、重い病気の発見や慢性頭痛の悪化を防ぐことができます。

「たかが頭痛」と我慢せず、少しでも不安を感じたら専門医に相談しましょう。

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頭痛外来で行われる診断・検査方法

頭痛外来で行われる診断・検査方法

頭痛外来で行われる主な診断・検査方法は以下の通りです。

  • 問診
  • 頭部MRI検査
  • 頭部CT検査
  • 血液検査
  • 脳波検査

ここでは上記の診断・検査方法についてそれぞれ解説します。

問診

問診は、頭痛外来で重要な診察の一つです。

まず医師が、痛みの起こる頻度・場所・強さ・持続時間・誘因などを丁寧に聞き取ります。

例えば「どんなときに痛みが出るのか」「吐き気やめまいを伴うか」「天候や生理周期との関係があるか」などを詳しく確認します。

これによって、一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛など)か、二次性頭痛(脳の病気が原因)かを見極めるための手がかりが得られるのです。

問診では、あらかじめ頭痛問診票を記入する場合もあります。

必要に応じて、神経の働きを調べる簡単な診察や画像検査・血液検査などを追加していきます。

頭痛の背景には生活習慣やストレスが関係していることも多いため、普段の生活状況を伝えることも大切です。

頭部MRI検査

MRI検査は、磁気を利用して脳の断面画像を撮影する検査です。

X線を使わないため被ばくの心配がなく、安全性の高い検査方法です。

CTよりも脳の内部構造を細かく映し出せるため、脳腫瘍や脳梗塞などの早期発見に役立ちます。

また、血管の異常(動脈瘤や血流の乱れ)も確認できるため、頭痛の原因を詳しく調べる際にも有効です。

MRIは小さな異常も捉えられるため、頭痛の原因が特定できないときや症状が長く続くときに特に有用です。

頭部CT検査

頭部CT検査は、X線を使って脳を撮影し、出血や腫瘍などの有無を調べる検査です。

撮影時間が短く、数分で結果が確認できるため、急な頭痛や意識障害がある場合など緊急時の診断に非常に役立ちます。

特に、くも膜下出血や脳出血などの命に関わる頭痛の早期発見に欠かせません。

検査は、ベッドに横になって頭部をスキャンするだけで完了します。

MRIと比べると骨などの硬い組織をはっきり映し出せるのが特徴ですが、放射線を使用するため、頻繁な検査には注意が必要です。

CTで出血や大きな異常が見つからない場合でも、症状に応じてMRIなどの詳細検査が追加されることがあります。

血液検査

血液検査は、体内の炎症や感染の有無、ホルモンや代謝の状態を調べる検査です。

頭痛外来では、髄膜炎などの感染症を疑う場合に白血球数や炎症反応を確認します。

また慢性的な頭痛が続く場合は、甲状腺機能の異常や貧血などもチェックします。

血液検査は短時間で行えるうえ、他の検査と組み合わせることでより正確な診断が可能です。

脳波検査

脳波検査は、脳の神経細胞が出す電気信号を頭皮に装着した電極で測定する検査です。

主にてんかんなどの発作性疾患や意識障害の鑑別に使われますが、頭痛の診断にも役立つことがあります。

脳の活動状態を波形として確認できるため、片頭痛や群発頭痛の人で脳の過敏な反応が見られることもあるのです。

脳の異常な興奮やリズムの乱れを調べることで、脳腫瘍や炎症性疾患などの可能性を見極める手がかりになります。

※当院では実施しておりません

頭痛外来を受診するメリット

頭痛外来を受診するメリット

頭痛外来を受診する主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 頭痛の原因が明確になる
  • 頭痛のタイプに合った治療が行える
  • 頭痛の回数を減らせる

ここでは上記3つのメリットについてそれぞれ解説します。

頭痛の原因が明確になる

頭痛の原因は、ストレスや睡眠不足などの生活習慣によるものから、脳腫瘍やくも膜下出血といった命に関わる病気まで多岐にわたります。

痛み方や起こるタイミングによって、どのような頭痛かを見極める必要があります。

市販薬で対処できると思っていても、実際は脳や神経に問題があるケースも少なくありません。

頭痛外来では問診・検査・画像診断を通じて、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛といった一次性頭痛なのか、脳疾患による二次性頭痛なのかを判断します。

原因を特定することで適切な治療や予防法を取れるだけでなく、再発防止のための生活改善にもつながります。

頭痛のタイプに合った治療が行える

頭痛には様々なタイプがあり、それぞれ治療法も異なります。

例えば、片頭痛には発作を抑える専用の薬や予防薬が使われ、緊張型頭痛では筋肉のこりを和らげる薬やストレッチ、姿勢の改善が効果的です。

群発頭痛の場合は、酸素吸入や特定の注射薬を使用することもあります。

このように頭痛にはそのタイプに合った治療方法があるため、誤った治療を行うと、薬の効果が出なかったり、逆に症状を悪化させたりすることもあるため注意が必要です。

頭痛外来では、患者さんの症状を丁寧に分析し、一人ひとりに合った治療を提案します。

さらに生活習慣やストレスの影響を考慮したアドバイスも受けられるため、再発を防ぐ効果も期待できます。

自分の頭痛のタイプを知り、それに合った治療を受けることで、より早い改善が目指せるのです。

頭痛の回数を減らせる

頭痛外来では単に痛みを抑えるだけでなく、頭痛の予防治療も受けられます。

頭痛の原因や誘因を明らかにし、予防的な治療や生活改善を行うことで、発作の頻度を減らすことが可能です。

頭痛が減ることで仕事や学校、プライベートの予定を頭痛に左右されずに過ごせるようになり、生活の質(QOL)が向上します。

「頭痛があるのが当たり前」と思っている方も、適切な治療を受けることで頭痛のない日常を取り戻せる可能性があります。

まとめ

頭痛外来はただ痛みを和らげるだけでなく、「なぜ頭痛が起こるのか」を明らかにし、根本から改善を目指すための専門外来です。

問診やMRI、CT、血液検査などを組み合わせて原因を特定し、患者さんに合った治療を行うことで、症状の軽減や再発防止につなげます。

頭痛は我慢するものではなく、治療によってコントロールできる症状です。

頻繁に頭痛が起こる、市販薬が効かない、痛みが強くなってきたなどの変化を感じたら、早めに専門医へ相談しましょう。

脳神経外科 福島孝徳記念クリニックでは、早期診断・早期治療を第一に診療しています。

頭痛やめまいといった症状に悩まされている方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

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記事監修者

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長 佐々木裕亮

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック院長 佐々木裕亮

  • 大阪医科大学医学部卒
  • 新百合ヶ丘総合病院脳神経外科
  • 森山記念病院 福島孝徳脳神経センター副部長
  • 総合東京病院脳神経外科医長
  • 晃友脳神経外科眼科病院 福島孝徳脳腫瘍センター長
  • 福島式鍵穴手術・頭蓋底手術「免許皆伝之証」授与
  • 脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長(現在)

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