吐き気を伴う頭痛の原因は?考えられる病気や対処法について解説

吐き気を伴う頭痛の原因は?考えられる病気や対処法について解説

頭痛と吐き気が同時に起こる場合、単なる疲れやストレスが原因のこともありますが、中には脳出血やくも膜下出血などの重大な病気が隠れていることもあります。

特に「今までにない強い痛みが突然起きた」「吐いても痛みが治まらない」といった場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

この記事では、吐き気を伴う頭痛が起きたときの対処法について解説しています。

頭痛で吐き気がする原因や考えられる重篤な病気、頭痛の主な種類などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

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頭痛で吐き気がする原因

頭痛で吐き気がする原因

頭痛で吐き気がする主な原因として、以下の3つが挙げられます。

  • 出血により脳が圧迫されている
  • 脳が炎症を起こしている
  • 脳の神経が興奮している

ここでは上記3つの原因についてそれぞれ解説します。

出血により脳が圧迫されている

脳の中で出血が起きたり、腫瘍や血のかたまり(血腫)ができたりすると、脳の圧力(頭蓋内圧)が高まり、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。

これは、脳の圧迫によって嘔吐中枢と呼ばれる部分が刺激されるためです。

こうした場合は吐き気止めを飲んでも改善は難しいため、根本的な治療が必要です。

さらに、手足のしびれや意識がもうろうとするなどの症状を伴うこともあります。

これらは脳出血や脳腫瘍などの重大な病気のサインの可能性があります。

特に突然強い頭痛と吐き気が同時に起こった場合は、命に関わることもあるため、119番、または救急外来を検討しましょう。

脳が炎症を起こしている

頭痛と吐き気が同時に起こり、さらに発熱や首のこわばりを伴う場合は、髄膜炎や脳炎など脳の炎症が原因となっていることがあります。

髄膜炎は、脳や脊髄を包む髄膜にウイルスや細菌が感染して炎症が起こる病気です。

これにより強い頭痛・吐き気・発熱のほか、首の後ろが硬くなる項部硬直といった特徴的な症状が現れます。

脳炎や髄膜炎は放置すると脳にダメージが残る恐れがあり、後遺症につながることもあります。

特に意識がもうろうとしたり、けいれんが起きたりする場合は緊急性が高い状態です。

単なる風邪と思って放っておくのは危険なため、これらの症状が見られたらすぐに病院で検査を受けましょう。

脳の神経が興奮している

脳の神経が過剰に反応して興奮すると、血管の拡張や炎症を引き起こし、頭痛とともに吐き気を感じることがあります。

脳の神経が興奮してしまう代表的な要因は以下の通りです。

  • ストレス
  • 寝不足
  • ホルモンバランスの変化
  • 気温や気圧の変動
  • 強い光や音

症状が出ている間は無理をせず、暗く静かな部屋で安静にすると落ち着く場合があります。

市販薬で改善しない、頻繁に起こる、生活に支障があるといった場合は、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。

吐き気を伴う頭痛が起きたときの対処方法

吐き気を伴う頭痛が起きたときの対処方法

吐き気を伴う頭痛が起きたときの対処方法は以下の通りです。

  • 医療機関を受診する
  • 痛み止めを服用する
  • 水分を取り安静にする
  • 定期的に検査を受ける
  • 他の病気を治療する
  • 頭痛の誘因となる行動を避ける

ここでは上記6つの方法についてそれぞれ解説します。

医療機関を受診する

吐き気を伴う頭痛には脳出血や脳腫瘍、髄膜炎などの重い病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

特に今までにない強い頭痛やろれつが回らない、手足のしびれなどの症状があるときは、すぐに受診が必要です。

市販薬でしのいでいると悪化する恐れがあるため、頭痛外来や脳神経外科で原因を調べてもらうのがおすすめです。

医師による診断を受けることで、適切な治療や予防法を提案してもらえます。

痛み止めを服用する

片頭痛などが原因で吐き気を伴う頭痛が起こっている場合は、痛み止めを使うことで症状を和らげられます。

市販薬では、アセトアミノフェン・イブプロフェン・ロキソプロフェンなどの鎮痛薬が有効です。

これらは脳の血管の拡張や神経の興奮を抑え、頭痛と吐き気を軽減する効果が期待できます。

ただし、薬を頻繁に使いすぎると『薬剤の使用過多による頭痛(MOH)』を引き起こすことがあるため注意が必要です。

また、吐き気が強い場合は、制吐薬を併用することで、より楽になることもあります。

医療機関では症状に合わせて薬を調整してもらえるので、つらいときは我慢せず受診することが大切です。

水分を取り安静にする

頭痛と吐き気があるときは、無理をせず静かな環境で休むことが重要です。

強い光や音、においは症状を悪化させることがあるため、暗く静かな部屋で横になりましょう。

また吐き気や嘔吐で体の水分が失われると、脱水状態になってさらに頭痛がひどくなることがあるため、少しずつでも水や経口補水液をとるよう心がけてください。

特に片頭痛の場合、体を温めすぎると悪化することがあるため、冷たいタオルでこめかみや後頭部を冷やすのも効果的です。

定期的に検査を受ける

頭痛や吐き気が繰り返し起こる場合は、定期的に検査を受けて脳の状態を確認しておくことが大切です。

特に視界の異常や手足のしびれなどの症状がある場合は、脳の異常が原因の可能性もあります。

こうした異常を早期発見するためには、脳ドックを活用するとよいでしょう。

脳ドックでは、MRI検査や血液検査を行い、脳梗塞・脳出血・動脈瘤・腫瘍などを早期発見できます。

通常の健康診断では見つけにくい異常も確認できるため、30代以降や頭痛が続く方には特におすすめです。

他の病気を治療する

頭痛そのものが主な症状でなくても、他の病気が原因となって吐き気を伴う頭痛が起きていることがあります。

例えば高血圧・糖尿病・脂質異常症・不整脈などの生活習慣病は、脳の血流に影響を与え、脳卒中などを引き起こすリスクを高めます。

こうした病気を放置していると、将来的に脳の病気につながる恐れもあるため注意が必要です。

そのため普段から血圧や血糖値を管理し、定期的に通院して治療を続けることが重要です。

また、薬の飲み忘れや生活習慣の乱れも悪化の原因になります。

頭痛だけでなく、動悸やめまい、倦怠感などの症状があるときは、体全体の健康状態を見直してみましょう。

頭痛の誘因となる行動を避ける

吐き気を伴う頭痛を防ぐためには、頭痛の誘因となる行動を避けることが大切です。

片頭痛の場合、睡眠不足・ストレス・天候や気圧の変化・空腹・アルコール・チョコレートやチーズなどの特定の食べ物が原因になることがあります。

まずは頭痛が起きたときの状況をメモして、共通点を見つけましょう。

就寝・起床時間を一定に保ち、規則正しい生活を心がけることも大切です。

ストレスを溜めないよう、入浴や深呼吸、軽い運動などでリラックスする時間を作りましょう。

普段の生活習慣を見直すことで、頭痛の症状の改善につながることがあります。

受診を検討すべき目安

受診を検討すべき目安

日常的に起こる軽い頭痛なら、少し休んだり市販薬で治まったりすることも多いですが、症状の中には放置すると危険なケースもあります。

特に「いつもと違う」「痛みが強い」「他の症状を伴う」といった場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

以下のようなサインがあるときは、早めの受診を検討しましょう。

  • 今までに経験のないほどの激しい痛みが突然起こった
  • 手足のしびれ・麻痺、視野の異常がある
  • 吐き気や嘔吐を伴う
  • 頭痛が頻繁に起こる
  • 薬が効かない

これらの症状があるときは、「少し様子を見よう」と思わず、早めに医師の診察を受けましょう。

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頭痛と吐き気があるときに考えられる重篤な病気

頭痛と吐き気があるときに考えられる重篤な病気

頭痛と吐き気があるときに考えられる重篤な病気として、以下が挙げられます。

  • くも膜下出血
  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎
  • 片頭痛

ここでは上記6つの病気についてそれぞれ解説します。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳の血管にできた脳動脈瘤(こぶのように膨らんでいる血管)が破れて出血する病気です。

突然、バットで殴られたような強烈な頭痛が起こるのが特徴で、頭痛に加えて吐き気・嘔吐・めまい・意識障害などが同時に起こることもあります。

発症後は短時間で意識を失うケースもあり、救急対応が必要です。

治療が遅れると命を落とす危険性が高く、運よく助かった場合でも、麻痺や言語障害などの後遺症が残ることがあります。

もし突然激しい頭痛が出た場合は、自己判断せずにすぐ救急車を呼びましょう。

脳出血

脳出血は、脳の血管が破れて脳の内部に出血が広がる病気です。

高血圧が主な原因とされており、急に頭痛と吐き気が出るほか、体の片側に力が入らない、ろれつが回らない、意識がもうろうとするなどの症状を伴います。

出血が広がると脳が圧迫され、命に関わる危険な状態に陥ります。

特に高血圧を放置している方や家族に脳卒中の既往がある方はリスクが高いため、注意が必要です。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、脳に十分な酸素や栄養が届かなくなる病気です。

症状は頭痛・吐き気のほか、顔や手足のしびれ、言葉が出にくい、片側の手足が動かしにくいなどがあります。

症状が突然出てくるのが特徴で、時間が経つほど脳へのダメージが大きくなるため、発症後すぐに対応することが重要です。

治療が遅れると、脳の一部が壊死してしまい、後遺症が残ることがあります。

発症から4.5時間以内であれば、血栓を溶かす治療を行える可能性もあるため、早急な受診が必要です。

脳腫瘍

脳腫瘍は、脳の中にできるできもののことで、良性・悪性どちらの場合もあります。

腫瘍が大きくなると脳を圧迫し、頭痛や吐き気、けいれん、視覚の異常、手足の麻痺、言葉が出ないなどの症状が起こります。

脳腫瘍は他のがんが転移してできることもあり、放置すると脳全体に悪影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

MRI検査で早期発見が可能なため、頭痛が慢性的に続く人や視界の異常を感じる人は一度検査を受けておくことをおすすめします。

髄膜炎

髄膜炎は、脳や脊髄を包む髄膜が細菌やウイルスに感染して炎症を起こす病気です。

主な症状は強い頭痛・吐き気・発熱・首のこわばりなどです。

細菌性の場合は進行が早く、治療が遅れると後遺症が残る可能性が高くなります。

早期に抗菌薬で治療すれば回復が見込めますが、重症化すると聴力低下などの障害を残すこともあるため、発熱と頭痛が続く場合はすぐ受診しましょう。

片頭痛

片頭痛は、吐き気を伴う頭痛の中で特に多いタイプです。

こめかみから側頭部にかけてズキンズキンと脈打つような痛みが特徴で、光や音、においなどに敏感になることがあります。

発作が起こると体を動かすだけで痛みが強くなり、仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。

片頭痛は、ストレス・寝不足・ホルモンバランスの変化・気圧の変動などがきっかけで起こるものです。

軽い場合は市販薬で対処できますが、繰り返す場合は医療機関での治療が必要です。

頭痛の主な種類

頭痛の主な種類

頭痛には多くの種類がありますが、大きく分けると『一次性頭痛』と『二次性頭痛』の2つに分類されます。

一次性頭痛は、脳や体に明確な病気がなく、頭痛そのものが症状の中心となるタイプです。

一方、二次性頭痛は、脳出血や脳腫瘍など別の病気が原因で起こる危険な頭痛です。

ここでは頭痛の主な種類について解説します。

一次性頭痛

一次性頭痛は脳や神経に異常が見つからないタイプの頭痛で、命に関わることは少ないとされています。

しかし、症状が強い場合は日常生活に大きく影響することもあります。

代表的な種類は以下の4つです。

  • 片頭痛
  • 群発頭痛
  • 緊張型頭痛
  • 薬剤の使用過多による頭痛(MOH)

ここではそれぞれの特徴について解説します。

片頭痛

片頭痛は、こめかみ付近にズキズキと脈打つような強い痛みが出る頭痛です。

光や音に敏感になったり、吐き気を伴ったりします。

痛みは数時間から3日ほど続くこともあり、寝込んでしまう人も少なくありません。

女性に多く見られ、ホルモンの変動やストレス、天候・気圧の変化などが発作の引き金になることがあります。

発作の前に『閃輝暗点』と呼ばれる視界のチカチカやギザギザした光が見えることも特徴です。

安静にしても改善しない場合は、医療機関で治療薬を処方してもらうとよいでしょう。

群発頭痛

群発頭痛は激しい痛みを伴う頭痛です。

目の奥をえぐられるような痛みが数週間から数か月間、ほぼ毎日決まった時間帯に発生するのが特徴です。

発作中は涙や鼻水、鼻づまりなどの症状も同時に出ることが多く、特に男性に多く見られます。

痛みは非常に強く、じっとしていられずに動き回ってしまう人もいます。

飲酒や喫煙が発作の引き金になることがあるため、これらを控えることが大切です。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭全体が締めつけられるような鈍い痛みが続くタイプの頭痛です。

午後から夕方にかけて起こりやすく、長時間のデスクワークやストレス、肩や首のこりなどが原因になります。

痛みは比較的軽くても慢性的に続くことが多く、集中力の低下や疲労感を伴います。

入浴やストレッチ、十分な睡眠をとることで改善することが多く、姿勢の見直しやリラックスも効果的です。

薬剤の使用過多による頭痛(MOH)

薬剤の使用過多による頭痛(MOH)は、様々な薬剤を長期間・頻繁に使用することで起こる頭痛です。

精神に作用するような薬剤などを月に10日以上、3か月以上続けて服用していると発症しやすく、「薬を飲まないと頭が痛くなる」という悪循環に陥ります。

この頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛がもとになって起こることが多いです。

自己判断で薬を増やさず、頭痛専門医のもとで適切な治療法を見つけましょう。

二次性頭痛

二次性頭痛は、脳の病気や体の異常が原因で起こる危険な頭痛です。

代表的なものには、以下のようなものがあります。

  • くも膜下出血
  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎

これらは命に関わる可能性が高く、今までにない強い頭痛や手足のしびれ・麻痺、意識がぼーっとするなどの症状を伴う場合は、すぐに医療機関の受診が必要です。

一般的な頭痛と異なり、原因となる病気の治療を行わない限り改善しません。

頭痛が急に悪化したり、これまでと痛み方が違うと感じたりしたときは、自己判断せずに脳神経外科や脳神経内科を受診してください。

早期発見・治療によって重症化を防ぐことができます。

まとめ

頭痛と吐き気が同時に起こる原因は様々で、片頭痛などの一次性頭痛から、くも膜下出血・脳出血・脳腫瘍といった命に関わる病気まで幅広くあります。

中には早期治療が必要なケースもあるため、「いつもの頭痛だから」と軽く考えず、痛み方や体調の変化をしっかり観察することが大切です。

また、強い頭痛や吐き気が突然起きた場合、意識がもうろうとする・手足がしびれるといった症状を伴うときは、迷わず救急受診を検討してください。

脳神経外科 福島孝徳記念クリニックでは、頭痛やめまいといった症状からの病気の早期診断・早期治療を第一に掲げています。

日本頭痛学会認定 頭痛専門医による外来診療も行っているため、頭痛にお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。

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記事監修者

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長 佐々木裕亮

脳神経外科 福島孝徳記念クリニック院長 佐々木裕亮

  • 大阪医科大学医学部卒
  • 新百合ヶ丘総合病院脳神経外科
  • 森山記念病院 福島孝徳脳神経センター副部長
  • 総合東京病院脳神経外科医長
  • 晃友脳神経外科眼科病院 福島孝徳脳腫瘍センター長
  • 福島式鍵穴手術・頭蓋底手術「免許皆伝之証」授与
  • 脳神経外科 福島孝徳記念クリニック 院長(現在)

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