顔面痙攣
お顔の片側が、ピクピクする病気です。
目の周りのピクつきから始まることが多く、時間がたつにつれて、頬や口角にもピクつきが広がります。症状がひどい場合は、目を開けることができず、日常生活に支障をきたすことがあります。
顔面がピクつく原因は、色々とありますが、ボトックス注射が治療の第1選択になります。ボトックス注射に関しては、別の項目で詳細を説明しております。
ここでは、特に片側顔面痙攣について説明します。症状の原因としては、顔面神経に血管が接触して生じる病気です。治療としては、まずボトックス治療が開始されます。ただ、ボトックス治療は、根本治療ではなく、対症療法(症状を緩和される治療)ですので、治癒することはありません。手術治療を行うまでの、待機的な治療と考えております。なかなか手術の説明を聞いても手術に対する恐怖心や不安感などで踏み切れないこともあると思います。ボトックス治療は、手術程のリスクはないと思いますが、弊害もあります。10数回以上ボトックスを投与すると、顔面麻痺が軽度出現することがあり、その後に手術を受けられて痙攣が消失した状態になっても、お顔の表情が痙攣を発症する前と少し変化することがあります。
我々の方針としては、片側顔面痙攣の方は、ボトックス注射で治療を開始しますが、『ボトックス治療を10回行うまでに手術治療を検討しましょう』と説明しております。当院での片側顔面痙攣に対する手術治療は、福島孝徳先生が確立した鍵穴手術で行っております。皮膚の切開も5cm以下であり、500円玉サイズの穴から手術を行います。
実際の手術例を示します。
50代の男性の方
50代の男性の方で、2年前から顔面痙攣を自覚されておりました。症状が強くなってきたため、手術を希望されました。
診断は、MRI検査を行います。脳幹と顔面神経の境界の部位に、前下小脳動脈という血管が接触していることを確認しました。(黄矢印)
実際の手術の写真です。
左写真の黄矢印の部位が、血管が顔面神経と脳幹の境界に接している状態です。右写真は、血管にTeflon(黄丸)という繊維性のテープを巻き付けて移動させている状態です。下の写真は、黄矢印が開頭した部位であり、人差し指の頭程度の大きさしかないことがわかります。
無剃毛で手術しており、下の写真は抜糸直後の写真ですが、術後の傷(黄矢印)もほぼ目立ちませんので、すぐに社会復帰可能です。