前頭部がズキズキする頭痛の原因は?頻度の高い症状・危険な病気と対処法

頭痛

前頭部がズキズキ痛む頭痛にお悩みですか?

頭痛は風邪やストレス、疲れなどが原因で起こる日常的な症状ですが、ズキズキした痛みが長く続いたり、頻繁に起きたりするとつらいものです。

前頭部に頭痛が起こる原因は多岐にわたり、つらいものの命に別状はない頭痛もあれば、放っておくと命にかかわる頭痛もあります。

この記事では、前頭部が痛む頭痛で頻度の高い病気と、危険な病気、受診の目安、日常生活での対処法について解説します。

自分の頭痛について知ることは、つらい症状を楽にするだけでなく、危険な病気の早期発見にもつながる大切なことです。ぜひ記事を最後までチェックしてみてください。

前頭部がズキズキ痛むときに多いのは「片頭痛」

頭痛

前頭部がズキズキ痛むときに最も多く見られるのが、片頭痛です。

頭の片側もしくは両側の前頭部のほか、こめかみや目の奥などに痛みを感じます。

一般社団法人 日本頭痛学会の調査(※)によれば、日本の片頭痛有病率は8.4%と、多くの人が片頭痛に悩んでいることがわかっています。

その一方で受診率は非常に低く、69.4%の人は一度も頭痛の治療のために病院を受診したことがないといいます。

しかし、近年の研究によって、片頭痛は不適切な治療や加齢で進行し、約3割が慢性化してしまうことがわかってきました。

特に注意が必要なのが、鎮痛剤の使い過ぎです。鎮痛剤の使い過ぎによって起こる頭痛を「薬物乱用頭痛(薬剤の使用過多による頭痛)」といい、薬の量や頻度は増えるものの、痛みが引かなくなってしまいます。

また、片頭痛だと思ったら大きな病気が隠れていたケースもあります。たかが頭痛と軽く見ず、早めに専門の病院を受診することが大切です。

(※Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia 1997; 17(1):15-22.)

頻度の高い病気│前頭部頭痛の原因

頭痛

前頭部に起こる頭痛の原因として頻度が高いのが、以下のような病気や症状です。

  • 片頭痛
  • 群発頭痛
  • 三叉神経痛
  • 副鼻腔炎(蓄のう症)
  • 帯状疱疹
  • 服用中の薬の副作用

ここからは、それぞれ詳しく解説します。

片頭痛

片頭痛は、片側もしくは両側の前頭部やこめかみ周辺に脈打つようにズキズキ、ズキンズキン痛む「拍動性の痛み」が見られることが特徴です。人によっては、ズキンズキンしない「非拍動性の痛み」が起こることもあります。

女性に多く見られ、痛みの発作には個人差がありますが、4時間〜72時間ほど続きます。

階段の上り下りなど日常的な動作でひどくなり、吐き気や嘔吐を伴うこともあるため、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。

片頭痛持ちの方の中には、生あくびや眠気、キラキラした光やギザギザの光(閃輝暗点)といった予兆や前兆を感じる方もいます。

光や音、においに敏感になることも片頭痛の特徴です。

群発頭痛

群発頭痛は、目の周囲〜前頭部や側頭部にじっとしていられないほどの激しい頭痛が起こることが特徴です。

男性に多く見られ、頭痛発作は1回15分〜180分ほどですが、1日に数回起こることもあります。

頭痛のほか、顔が赤くなる、目が充血する、涙や鼻水が出るなどの症状も見られます。

特定の季節や時間に繰り返し頭痛発作が起こる「群発期」が過ぎると、数ヶ月〜数年痛みが起こらない「寛解期」となります。

1年以上頭痛の発作を繰り返す場合は、慢性群発頭痛と呼ばれます。

三叉神経痛

三叉神経痛は、突然起こる瞬間的な強い痛みが特徴です。痛みは長くは続かず、数秒〜数十秒程度で消失します。

三叉神経(顔や頭の感覚を司る神経)が血管や腫瘍などと接触した刺激が「痛み」として認識されてしまうことで起こり、前頭部(おでこ)のほか、頬や顎に痛みを感じるケースもあります。

食事や歯磨き、洗顔、冷たい風が顔に当たるなど日常的な動作が引き金(トリガー)となって起こるケースが典型的です。

副鼻腔炎(蓄のう症)

前頭部の痛みの場合、副鼻腔炎(蓄のう症)が原因となっている可能性もあります。

副鼻腔炎は、副鼻腔(鼻の周囲の空洞)にウイルスや細菌による炎症が起こる病気です。

副鼻腔には上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、前頭洞(ぜんとうどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)があり、膿が溜まる場所によって痛む部分も変わります。

おでこ部分にある前頭洞に膿が溜まると、おでこや眉間周辺に鈍い痛みを生じます。

頭痛のほか、頭重感、鼻水や鼻詰まりも副鼻腔炎でよく見られる症状です。

帯状疱疹

帯状疱疹は、赤い斑点や水ぶくれが帯状に現れ、ピリピリした痛みが起こる病気です。

水ぼうそうと同じ、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。

水ぼうそうは、一度かかると治ってからもウイルスが体内に潜み続けます。このウイルスが何らかのきっかけで再活性すると、帯状疱疹が起こる可能性があります。

前額部(おでこ)は帯状疱疹の好発部位で、症状は体の左右どちらかに起こる場合が多いです。

皮膚に症状が出る前に痛みだけが起こることもあり、帯状疱疹と気付かないケースもあります。

服用中の薬の副作用

服用中の薬がある場合、副作用として頭痛が出ている可能性もあります。

薬の服用によって起こる頭痛には「服用後すぐに起こる頭痛」と「薬を何度か使用することで起こる頭痛」の2つがあります。

「服用後すぐに起こる頭痛」としては、例えば狭心症の治療で使われる硝酸薬には、ズキズキする拍動性の頭痛が起こる副作用があります。

「薬を何度か使用することで起こる頭痛」は、頭痛持ちの方で鎮痛剤を使用し過ぎた場合に起こるものです。

薬の副作用が原因と考えられる場合は、自己判断で薬の服用をやめず、必ず医師に相談しましょう。

危険な病気│前頭部頭痛の原因

脳

前頭部に起こる頭痛の多くは深刻な病気によるものではありませんが、中には生命に関わる重大な疾患が隠れていることもあります。

ここからは、前頭部の頭痛を引き起こす可能性のある危険な病気について解説します。

脳腫瘍

脳腫瘍は頭蓋内にできる腫瘍の総称で、良性・悪性のどちらも含みます。

脳腫瘍による頭痛の場合、突然痛みが起こることは少なく、数日〜数ヶ月かけてだんだんと痛みが強くなることが特徴です。

また、朝起きたときに痛みが最も強くなることも特徴で、起きてしばらくすると改善することがあります。

原因不明の吐き気や嘔吐、視力低下、手足の麻痺、言葉がうまく出てこないといった症状が見られるケースもあります。

脳血管障害(脳出血・くも膜下出血)

脳血管障害(脳出血・くも膜下出血)とは、脳の血管が障害を受けることで起こる疾患のことです。

代表的なものが脳出血とくも膜下出血で、いずれも突然起こる頭痛が特徴です。

脳出血の場合、出血が起こる場所によって症状が異なりますが、頭痛や片麻痺、言語障害などが見られます。

くも膜下出血で起こる頭痛は「突然頭を殴られたような痛み」といわれ、このような痛みを感じた場合は様子を見ず、夜間であったとしてもすぐに救急車を呼ぶ必要があります。

吐き気や嘔吐、めまい、意識障害、けいれん、視力障害などの症状を引き起こすこともあります。

髄膜炎

髄膜炎は、細菌やウイルスなどが原因で髄膜に炎症が起こる病気です。

頭痛、発熱、吐き気など最初は風邪に似た症状ですが、悪化すると命にかかわります。項部硬直(首が硬く曲げにくくなる)、意識低下、けいれんが起こることもあります。

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、内頚動脈(脳に血液を送る太い血管)の先端部が徐々に狭くなり脳の血液不足が起こる原因不明の病気です。

悪くなった血流を補うため、太い血管が枝分かれして細い血管(もやもや血管)が無数に発達しますが、この血管がもやもやして見えることから、もやもや病と名付けられました。

10歳以下の子供と30~40代の大人に発症することが多く、子供と大人では現れる症状に違いがあります。

もやもや病は頭痛が起こるケースもあれば、無症状で偶然発見されるケースもあります。

また、もやもや血管に負担がかかりすぎると脳出血や脳梗塞を起こすこともあり危険です。

前頭部頭痛の受診の目安

医者

頭痛の多くは命に別状ないものですが、危険な病気が隠れている可能性もゼロではありません。

ここでは、前頭部が痛むときの受診の目安を紹介します。

様子を見て受診を検討するケース

以下のような症状がある場合は、様子を見て受診を検討しましょう。

  • もともと片頭痛があり、痛み方も普段と変わらない
  • 痛みが続く
  • 顔や頭皮に発疹が出ている
  • 前頭部の痛みに加えて鼻水や鼻詰まりなどの症状がある

このような症状がある場合は、様子を見てなるべく近日中に病院を受診しましょう。

すぐに受診が必要なケース

以下のような症状がある場合は、夜間・休日問わずすぐに病院を受診する必要があります。

  • 経験したことのないほどの激しい頭痛
  • いつもと様子が異なる頭痛
  • 体の片側に力が入らない、しびれがある
  • 表情の歪み
  • 言葉が出にくい
  • ろれつが回らない
  • まっすぐ歩けない
  • ものが二重に見える
  • けいれん
  • 意識が朦朧としている
  • 目の充血、視力低下、吐き気などがある

このような症状を伴う頭痛は命の危険もあるため、躊躇せずすぐに病院を受診することが大切です。

前頭部頭痛があるときの日常生活での対処法

女性

ここからは、前頭部頭痛があるときの日常生活での対処法について解説します。

規則正しい生活を心がける

慢性頭痛は生活習慣や生活リズムが影響するため、悪化させないためにも十分な食事・運動・睡眠を心がけ、規則正しい生活を送りましょう。

睡眠不足だけでなく、寝過ぎも頭痛の原因になるため、睡眠リズムを整えることが大切です。

ホルモンバランスを整える

片頭痛は女性に多く見られますが、その理由の一つと考えられているのが女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量の変動です。

そのため、ホルモンバランスの変わる月経や更年期には、頭痛が起きやすくなると言われています。

女性ホルモンバランスの乱れはさまざまな心身の不調につながるため、アルコールやカフェインなどは控え、バランスの良い食事と質の良い睡眠を摂って安静にして過ごしましょう。

ストレスを解消する

片頭痛はストレスとの関連が深く、ストレスを溜め込むと症状悪化につながることがあります。

できるだけストレスから距離を取るようにし、こまめにストレス解消する時間を作りましょう。

ストレッチやマッサージで筋肉をほぐす

長時間同じ姿勢を続けたり、パソコンやスマートフォンを見続けると、筋肉が緊張して血行が悪くなり、頭痛につながります。

デスクワークや車の運転時はこまめに休憩を取り、ストレッチやマッサージで筋肉をほぐしましょう。

前頭部頭痛があるときの注意点

ここでは、前頭部に頭痛があるときの注意点を解説します。

市販の鎮痛薬を飲み過ぎない

つらい症状を緩和させるために、市販の鎮痛剤を飲むこともあるかもしれませんが、飲み過ぎにはくれぐれも注意しましょう。

鎮痛剤はあくまで一時的に痛みを鎮めるのみで、頭痛の根本的な治療はできません。それどころか、安易に飲み過ぎると薬物乱用頭痛という頭痛を起こしてしまう可能性があります。

適切な治療を受けるためにも、頭痛が続く場合は早めに脳神経外科など病院を受診しましょう。

頭痛の症状や頻度などを記録しておく

頭痛が起こる原因はさまざまです。自分の頭痛は一体何が原因で起こっているのか、的確な診断のためにも、以下の点を記録しておきましょう。

  • 頭痛が起きるタイミング
  • 頭痛の症状や程度
  • 頭痛の持続時間・頻度
  • 飲んでいる薬や服用回数

早めに医療機関を受診する

頭痛は多くの方が経験する症状で、心配のないケースも多くあります。

しかし一方で、放置すれば命にかかわる重大な病気が隠れていることもあり、「たまたま受けた検査で大きな病気が見つかった」といったケースも少なくありません。

どんな原因で頭痛が起こっているのか、検査しなければ原因はわからないため、気になる頭痛がある場合はなるべく早めに病院を受診しましょう。

クリニックでは薬や注射で片頭痛の予防が可能

医者

前頭部の頭痛として多く見られる片頭痛は、薬や注射で予防や治療が可能です。

片頭痛は患者さんの生活の質を低下させてしまう原因であるため、つらい症状がある場合は我慢せず、病院を受診して治療を受けましょう。

脳神経外科 福島孝徳記念クリニックでは、高血圧・心血管系疾患の方も使用可能な「選択的5-HT1F受容体作動薬(レイボー®︎)」や片頭痛の予防薬「CGRP受容体拮抗薬」など、患者さんに合わせた治療を行っています。

まとめ

前頭部の頭痛は、さまざまな原因で起こる可能性があります。

多くの場合は深刻な病気ではありませんが、中には生命に関わる重大な疾患が隠れていることもあります。気になる症状がある場合は早めに病院を受診しましょう。

脳神経外科 福島孝徳記念クリニックでは「日本頭痛学会認定 頭痛専門医」による外来診療を行っています。つらい頭痛にお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

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